《MUMEI》
感謝
その時ふと…


コース右脇を歩く一人の男の姿が目に止まった…。


それは青白の NSR を押して歩くラパイド2号だった。


彼はオレのウイニング・ランを爽やかな笑みで見送ってくれていたが…

…その表情はどこか寂しげでもあった。


思えばオレが勝てたのは、彼の走りがヒントを与えてくれたからだ…。


ラパイド2号はクルリと背中を見せ、突き出した左手の親指を立てて、オレに祝福の合図を送ってくれた。


オレも彼に同じジェスチャーを返す…。

そして静かに感謝した…。

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