《MUMEI》
最悪な出来事
俺が教室に入ると、席が3つ程空いていた。
有河原樹の席も…。

しばらくして先生が深刻そうな顔をしながら入って来た。
どよめく教室を一気に静めて話し出した。

「あー…川上と田嶋は軽い火傷で澄んだそうだ。なので…今日は家へ帰った。……有河原だが……」
先生は名前を出したっきりで口を閉じてしまった。
「先生!有河原がなんですか?早く言ってください!」
俺は思わず口を開いた。

先生は仕方ないような顔をして口を動かした。
「意識が…戻らないそうだ」
先生の一言に再び教室がざわめく。
「サッカー部の部室に居たらしくてな…寝ていたのか…無抵抗だったんだそうだ。一酸化炭素を沢山吸い込んでいて…所々に火傷を負ったんだそうだ‥」
そこまで一息で言うと、先生は深い溜め息をついた。

―ダァンッ
俺は抑え切れない気持ちにやられ、机を力一杯叩いた。
回りのクラスメートは目を丸くして俺を見ていた。

「先生…」
「…なんだ?」
「どこにいるんですか?」
「…は…?」
「野郎はどこの病院にいるんですか!?」

その時の俺の顔はまさに鬼そのものだったらしく、クラスメートは勿論、先生も黙り込んでしまった。
俺は頭に血が上ったまま、先生の手元にあったメモを掻っ攫って、夕闇に染まる街を野郎の元まで全力で走った。


「あのバカっ!」

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