《MUMEI》 しかし… 真夏の酷暑にも… 乱暴なシフト操作にも… 限界を強いるスロットル・ワークにも… 岡ヤンとオレを裏切ることなく、2時間ものレースを耐え抜いたマシンには、素直に"愛情"という感情を抱かずにはいられなかった。 赤と白の NSR は静かに…眠っているように、ピットの片隅に佇んでいた。 (今は眠れ…。) オレはそっとタンクを撫でやった…。 そして心の中でこう付け加えた…。 (明日からまた、体重90キロを超える兄貴の日常の足として、地獄のような日々が待ちうけているのだから…。) 前へ |次へ |
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