《MUMEI》 始まりの一言7月の半ば。もうすぐ夏休みが始まる。そう、楽しいはずの夏休みが…。 ホームルームの後、先生が言った。 「もうすぐ夏休みだし、クラスで旅行でも行くか?」 彼の一言が…始まりだった。 「行こう!」 みんな乗り気だった。もちろん私も… 「先生太っ腹〜♪で、何処連れてってくれんの?」 範子が明るい声で聞いた。 先生は口を開き、 「暗花村」 と言った。 「アンカムラ?」 クラスのみんなが口を揃える。 「田舎の方の村だよ」先生が答えた。 と、茅乃が笑みを作る。 「田舎の村っていうのも、面白そうですね〜」 みんな同じ気持ちだったにちがいない。私も含めて。 あのとき止めておけば…こんなことにはならなかったのかもしれない。 「じゃあ7月30日に校庭に集合ねっ!」 日程はすぐに決まった。 みんなすごく楽しみだったから。 私は家に帰って、胸を弾ませながら旅行の準備をした。 これから何が起こるかも知らずに。 前へ |次へ |
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