貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
母。
朝方、ふと携帯の存在を思い出した。

そういえば、弟にメールをしたまま放ってたんだっけ…。



部屋に行き、カバンから携帯を取り出す。


着信を知らせるランプがチカチカ光って居る。


わたしは、何十件も着信が残って居るのかと覚悟しながら、携帯を開いた。




"着信1件/留守電1件"



案外シンプルな表示に、ちょっと拍子抜けしながら、留守電センターに繋ぐ。



母の声がした。




『なんとなく読めてたわよ。ちょっとした息抜きくらいは必要よね。
お父さんには上手く云っておくから、あなたはたまにこっそり連絡しなさいよ?
どこに居るかは聞かないけど、元気で居ることだけ知らせなさい。
以上です』






…読まれてたんだ。

わたしが忘れ物を取りに行くって云った時には、もう気付かれたのかも知れない。


お母さんには敵わないや。

笑いながら涙がちょっと出てきた。


リビングで寝てるアキには秘密の涙。



「ごめんなさい」


呟いて、携帯を畳んだ。

前へ |次へ

作品目次へ
無銘の作品を探す
無銘文庫TOPへ