《MUMEI》 「愛知って名前?」 ベッドの中で聞いてみる。 「……どう思う?」 悪戯に愛知は笑った。質問返しは『言いたくない』を示唆している。 「どうでもいいかな。」 昭一郎を掌握できればいいや。 「冷たーい」 整った顔で頬を膨らませる。 「…………愛知ってオンナいるだろ。」 何と無く、直感だ。 「いるよ?でも全部離す気は無いから。」 何の躊躇も無く認めた。リスクを厭わないということか、何も求めないのか。 「ろくでなしだ。」 …………俺もか。 「覇者には分からないよ、この孤独は。 肌に触れた分支えてもらいたいんだ、見返りじゃないよ? 俺を形成するひとつひとつに誰かが関わってゆくように。 俺は棄てたいんじゃない、拾われていたいんだ。」 愛知の言葉は自己中心だと思う。 「それの罰ならいくらでも受けるよ。」 陰る愛知の表情から真意は読み取ることが出来なかった。 その後 愛知は公園に来なかった。 前へ |次へ |
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