《MUMEI》

「愛知って名前?」

ベッドの中で聞いてみる。



「……どう思う?」

悪戯に愛知は笑った。質問返しは『言いたくない』を示唆している。

「どうでもいいかな。」

昭一郎を掌握できればいいや。

「冷たーい」

整った顔で頬を膨らませる。

「…………愛知ってオンナいるだろ。」

何と無く、直感だ。

「いるよ?でも全部離す気は無いから。」

何の躊躇も無く認めた。リスクを厭わないということか、何も求めないのか。

「ろくでなしだ。」

…………俺もか。

「覇者には分からないよ、この孤独は。
肌に触れた分支えてもらいたいんだ、見返りじゃないよ?
俺を形成するひとつひとつに誰かが関わってゆくように。
俺は棄てたいんじゃない、拾われていたいんだ。」

愛知の言葉は自己中心だと思う。

「それの罰ならいくらでも受けるよ。」

陰る愛知の表情から真意は読み取ることが出来なかった。











その後
愛知は公園に来なかった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫