《MUMEI》

「新しい何か?」


興味津々なねこは、目を輝かせながら小鳥を見ます。
暗闇で光るねこの目は妖しく、小鳥に僅かな恐怖心を与えます。

小鳥は小さい体を更に小さくする様に、小屋の隅へと体を寄せていきます。


「…寒いのですか?」


小鳥の妙な震えに気付いたねこは、心底心配している様な声で尋ねます。


「い、いえ。何でもありませんよ。」

「でも…」

「そんな事より、さっきの続きですが…」


小鳥はねこの言葉を遮る様に、話しの続きをし始めました。


「新しい何かとは、出会いや物事、時には見える風景さえも違って見えるということです。

それは楽しいだけではありません。時には悲しみや、辛い事だってあります。


地上には様々な生き物が数え切れないほどいるのですから。」



ねこは、じっと小鳥の言葉に耳を傾けています。



「でも、それら全てがあるからこそ、地上の世界は美しいのです。」









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