《MUMEI》

昔行き来した国道から見える風景は、大きく様変わりしていた。



田畑しか無かった国道沿いには近代的なビルが建ち並び、走り慣れた国道も片側3車線に増えていた。



そんな中、交差点脇にある"変わらないもの"が一つ……オレの目に飛び込んできた。



それは複合レジャー施設・アクアの建て看板だった。


(懐かしいなぁ)



オレは色褪せた看板を見て目を細めた…。



道路脇の街路樹にとまった蝉達が、短い命を燃やすように騒がしく鳴いている。



うだるような暑さの外気が、目に映る風景を陽炎のように揺らしていた。



(…そういえば…あの日も暑かったなぁ…)



オレはその看板に導かれるように、実家へと急ぐ車を右折させた…。

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