《MUMEI》
課題
「おはよう泉結季くん?」


次の日教室に現れたのは、長い黒髪のシルバーフレームの眼鏡をかけた美人な女の人だった。身長も僕とほとんど同じくらい。…悔しいけど。



「は……はぁ」

周りがざわめく。「なんで?」とか聞こえてくる。


僕が聞きたいよ。


「私、吾妻のパシリの奈良絵梨って言うの。今日は吾妻が野暮用でこれなくなったから代わりに届けにきたわ。ハイ」

差し出されたのは、「結季専用課題ノート」と書かれたノート。



「最初は数学なんだって。勝手に中見たんだけど、あいついい父親になると思うわ。じゃあ頑張って」


見た目のおとなしそうな印象とは裏腹に、フレンドリーな人だった。

パシリとか言ってたけど…恋人じゃないのかな?

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