《MUMEI》 くちばし. 「雨、止みましたね。」 気付けばもう夜は明け、眩しいまでの朝日が、小屋の中に差し込んできました。 ねこはググッと伸びをして、大きな欠伸を一つすると、ゆっくり小屋の外へと出てきました。 小鳥もそれに続きます。 「ねこさん、どうもありがとうございました。」 小鳥はペコリとお辞儀をすると、バサバサ翼を羽ばたかせます。 「それでは私はこれで…」 「待って下さい!!」 今にも飛び立ちそうな小鳥を、ねこは慌てて呼び止めました。 ねこにはもう一つの【願い】があったのです。 「小鳥さん、あなたのくちばしで、僕のこの…この縄を断ち切ってくれませんか?」 それはねこの自慢だったアクセサリー。 けれども今は、自分を束縛させるただの縄。 いつか黒猫が言っていた言葉が蘇ります。 『それは首輪っていうんだぜ。』 「猫に首輪はいらない…僕は自由になりたい!」 それは初めて外の世界に憧れをもったねこの、心からの願いでした。 前へ |次へ |
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