《MUMEI》
同級会
そもそも、何故こんな事になったのか―

始まりは、今年三月。

中学の同級会。

場所は、今日と同じ居酒屋。

「おぉ、スゲーな」

席に案内された俺は驚いた。

店の奥にある宴会用の座敷スペースを、俺達―元F組の団体が独占していた。

「よ、慎。久しぶり!」
「久しぶり!今回、スゲーな」
「だろだろ!卒業後10年記念だから、俺頑張ったよ!」

褒めてくれと言わんばかりに、俺に話しかけてきた幹事の木下 健志(きのした たけし)は胸を張った。

俺達F組は、学力は平均よりちょっと低かったけど、イベント力は高かった。

そのまとめ役は、いつも健志だった。
だから、当然のように同級会の幹事も健志になっていた。

「お前、本当にこういう時だけはマメだな」
「『だけ』は余計だ!」

「悪い悪い」

健志に怒られ、慌てて謝る。

「最終的に、何人来んの?」
さりげなく、話題を切り替える。

「30人!」
「…へぇ」

F組は、40人だった。

それでも、この出席率はすごい。

地元に進学・就職した俺は、健志と仲が良かったせいもあり、毎年同級会に参加していた。

いつもはせいぜい10人程度で、同級会というより、仲間内の飲み会に近かった。

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