《MUMEI》

健志がいなくなっても、皆の話題は『たかまる』に集中していた。

『たかまる』



それは、高山 志穂にクラスの皆が付けたあだ名だった。

当時の高山は、
身長172pで、その…

ちょっと、…いや、…かなり、ぽっちゃりしていた。
ある日、誰かが言った。(誰だったかは、覚えていない。

「お前は、高山じゃなくて、『たかまる』だ!」

バキッ!

言った男は高山に殴り飛ばされた。

だから、これは、あだ名というよりも陰の呼び名だった。

高山のいないところで、クラスの皆が高山を『たかまる』と呼んでいた。

「怪力、『たかまる』

高山にふさわしくない『たかまる』」

そんな事を言われていた。

高山に言ってはいけない禁句は二つあって…

一つは、『たかまる』と呼ぶこと

もう一つは、高山の兄妹の話をすること

これを破った男子は、ある者は拳で殴られ、ある者は飛び蹴りをくらった。

女子には、平手が飛んできた。(高山なりに手加減はしていたようだ)

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