《MUMEI》
お宅訪問
「ここ?」

もう一度住所を確認して、地図と見比べた。

てっきり、一軒家と思い込んでいた探し屋の家は、『大原荘』というアパートだった。





結局悩んだ末に、私は探し屋の家に行くことにした。

一つ目の理由は、暇だったから。
高校に入って部活をしているわけでもなく、バイトをしているわけでもない私は、まだ1週間も経っていない夏休みが退屈でしかたなかった。

それで暇潰しに。


二つ目の理由は、私のおこづかいを壊滅状態に陥れて、なんのお礼もされなかったらくやしいから。

正直、勝手に私が探し屋に飴を買ったんたけどね。

でもそのせいで、長い夏休み中、友達と遊ぶこともできない。


だいたいこの2つの理由で、私は探し屋の家を訪れた。

けど、まだちょっと不安があるのは本当だし、少しこわい。

そんな気持ちを心の奥へ追いやって、地図を頼りに探し屋の家に訪れた。




アパートの外見は、正直ボロい。

ドアの数を数えると部屋はたぶん6部屋。

けどなんか違和感。
なんでだろ?


考えてみると、探し屋の名刺はアパートの住所は書いてあったけど、何号室かは書いてない。

どの部屋か分からないじゃない!


私がどうしようとアパートの前でウロウロしていたら、

「大原荘になんか用?」

と突然声をかけられた。

後ろを振りかえると私より年上っぽい若い男の人が立っていた。


「あっ…はい。」

「見かけない顔だね?誰かに用?」

「あっ…ええっと…。」

私はあのボロい名刺を見て、

「稲葉…四季さんです。」

すると男はビックリした顔で、

「稲葉と知り合いなの?」

「えっ…まぁ…。」


「へー。アイツに君みたいな知り合いがいたなんて、驚きだな…。ついてきて。」

とアパートの端に付いている、螺旋階段を上り始めた。

私も後について、上っていった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫