《MUMEI》 健志が高山を連れてきて、数分後― 「いや〜、本当に綺麗になったね」 「俺、高山さんは痩せたら美人だと思ってたよ」 「どんなダイエットしたの?」 「肌キレ〜イ。い〜な〜」 話題の中心は、『たかまる』ではなく、『綺麗な高山さん』だった。 皆コロッと態度を変え、高山に笑顔で接している。 高山も、嬉しそうだ。 (…良かった) 皆の陰口は、高山は聞いていないようだ。 「すっかり人気者だなぁ」健志が、俺の隣に座る。 「お前、知ってたな?」 「うん?」 健志が何の事かと首をかしげる。 「高山の事だよ。お前、来る前から、『高山』って言ってただろう」 当時は、健志だって高山を『たかまる』と呼んでいた。 「まぁね」 あっさり、健志は認めた。 「いつ知ったんだ?」 「今年の一月だよ」 健志の話によると、健志の高校の女友達が、高山と知り合いで、その女友達主催の飲み会に参加したら、そこに高山がいたと言うのだ。 「俺だって最初は今日の皆みたいに、開いた口がふさがらなかったさ」 「ふぅ〜ん」 納得。 前へ |次へ |
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