《MUMEI》 「高山と言えばさぁ」 「うん?」 健志が、ニヤニヤしながら俺を見つめる。 「何だよ。気持ち悪いな」 「慎は殴られなかったし、蹴られなかったよな」 「当たり前だ」 禁句を言わなければ、高山が暴力をふるう事は無い。 「それにぃ〜」 「何だよ」 (まだ、何かあるのか?) 「お前、一度も『たかまる』って言わなかった」 ビシッと俺の顔を指差す健志。 「そ―」 れがどうしたと言いかけた時― 「あれ?仲村君も来てたんだ?」 頭の上で声がした。 「久しぶり」 「あ、あぁ」 高山は、カクテルの入ったグラスを片手に持ったまま、俺の隣に座った。 「じゃ、俺、あっち行くから」 「え、おい、健志」 さっき、『たかまる』発言をした健志は、逃げるように他の席に移動していった。 「仲村君、地元就職組だっけ。今どこで働いてるの?」 「この近くの製作所。高山は?」 「来月から、駅前のビジネスホテルで働くんだ」 (あぁ、そういえば…) 『離婚した』という健志の言葉を思い出した。 「ふぅん」 「仲村君、よかったら、メルアドと携帯番号、教えてくれる?」 前へ |次へ |
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