《MUMEI》

「え?」

俺はドキッとした。

ニヤニヤした健志の顔が、何故か頭に浮かぶ。


「実は私…」

ドキドキ…

(落ち着け、俺…)

俺には…


「カラオケ好きなんだよね」

「ごめん!」




(…て、…)


「カラオケ?」

「うん。私、歌うの好きでね。でも、一人は何か恥ずかしいし、仲村君の都合いい時は、一緒に行きたいなぁーって。
…カラオケ、嫌い?」




ハァ。

(俺って自意識過剰かも…)

「ごめんね、そんなに嫌いだとは、知らなくて…」
「いや、好きだよ。いいよ、交換しよう」

「ありがとう」

また連絡するね、と言って、高山は、立ち上がり、女子グループのテーブルに移動した。

それから、高山は他の連中と楽しそうに話していたし、俺も戻ってきた健志達と飲んで語っていた。


この時は、まさか、高山からあんなメールが来るとは思わなかったのだ―

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