《MUMEI》

それから二年は普通に親友で。


二十歳の時に、俺が当時片想いしていた女性に大失恋して、祐希が慰めてくれて―


―それで。


―一線を越えてしまって。

結局、


「こうなってるしなぁ…」
「ん…」

祐希が、目を覚ました。


「あ、悪い。起こしたか?」

「いや、…おはよう」

祐希が、俺のおでこに軽く唇をあてる。


「…こら」

俺は、祐希を押し退け、ベッドから立ち上がると、バスルームに向かって歩き出した。


「昨夜はあんなに可愛かったのに」


後ろから聞こえる祐希の声は無視した。


―可愛いなんて言われて赤くなった顔を、見られたくなかったから。

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