《MUMEI》

延長すれば、当然追加料金がかかる。


「おい、早くしろ」
「わかったよ」


二人で急いで部屋を出て、フロントがある一階へ行くために、エレベーターに向かう。


廊下で、シーツを積んだ台車を押している、女性とすれ違う。


クリーム色のバンダナ・エプロン・ポロシャツ・ハーフパンツに、スニーカーを履いている。


(掃除のおばさんか)


「「おはようございます」」

「おはようございます。ありがとうございました」





顔を上げたおばさんに、俺は驚く。


しかし、時間が無い俺達は、立ち止まらずに、エレベーターに乗り込んだ。


「慎?」

祐希が俺の顔を覗き込む。

「…」

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