《MUMEI》

手を抜いて良いところと駄目なところの見極めが良いんだろう。簡単に言えば要領が良いということだ。

そしてある程度の良識も持ち合わせていた。これだけ自由に俺の部屋を使っているにも関わらず、ゴミを散らかしたりとかしないし、読んだ本は必ず本棚に返している。

ただ俺が汚したものを片付けてくれたりとかいう優しさは持ってないようだった。当然といえば当然か。自分のことは自分でやれってことを無言で言っていたのかもしれないな。

「なんで綺麗な部屋に住んでるのに俺の汚い部屋に来るんだ?漫画なら持って帰っても良いんだぞ」

「落ち着かないからな自分の部屋は。それに比べてここは良い。出来ればずっとここにいたいぐらいだ」

ものすごい迷惑なことを言われた。しかし思い出して見れば、藤原と出会った時にもこんな話しをしていたのを思い出した。

「どうして自分の家が落ち着かないんだ?一人暮しだろ。いってみたら、何でも自分の好きに出来るんだぞ。理由を教えてくれよ」

この質問はごく当たり前の質問だと思った。だが藤原にとればこの質問は深い意味を持つもののようだった。

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