《MUMEI》

「いやー。まさかほんとに君が来るとは思わなかったよ。ちょっと汚い所だけど、まあ座って。」



……どこに?



「あー…俺忘れてた。稲葉の家のこと…。」

浅田と呼ばれていた男は頭を抱えていた。


「そんな遠慮せずに座りなよ。」



「「座れるかっ!」」

私と浅田さんは同時に叫んだ。


一部屋だけの小さな家を飴の袋や包み紙が支配していた。床もそれで見えない。

家具は全くなく、小さな茶ぶだいと扇風機くらい。
それさえも飴の袋や包み紙に支配されかけている。

唯一無事なのは、少し大きめの窓だけのようだ。

袋や包み紙の間をガサゴソ動く何かがいるけど、見ないことにした。


けど部屋の隅にはきちんと大量の飴が籠の中に収納されている。

私が昨日買った飴もちらほら見えた。

きわめつけに探し屋と同じ甘いのもっときついにおいが充満していていて、鼻がおかしくなりそうだった。





ダメだ…。

「…………浅田さん?」

「はっはい…。」

さっきとまるで違う、私のただならぬオーラに気付いたのか、浅田さんの声は少し裏返っていた。


「あなたの家から、手袋とゴミ袋、雑巾、箒もしくは掃除機、あと…虫によく効く殺虫剤を持ってきて下さい…。」

「りょ了解。」

浅田さんはバタバタと玄関を出て行った。


「かっ加恋ちゃん?」

探し屋はおびえたような声で私の名前を呼んだ。

「探し屋さん、私が一番嫌いな物教えてあげます。」

探し屋がゴクンと唾を飲み込む音が聞こえた。





















「汚い部屋。」

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