《MUMEI》
危ない発明
簡易診療所の一室、ごまの腕になにやら金属の塊を付繋げながらエミがコンソールを叩いている。
「切断面が綺麗だし・・これでイケルと思うんだけど。」
「きゅ・・」
音も無く金属製の腕が動く。
「動く、動く〜エミ、ありがと!!」
嬉しそうに義腕を振り回すごま。
「試作品のレベルだから壊れる可能性も否定できないけど・・・まぁごまなら多少暴走しても大丈夫でしょ?」
凄まじく不吉な事を口走りながらもごまの義腕の調子を見ているエミ。
ごまは夢中で手を開いたり閉じたりを繰り返している。
「暴走するかも・・って危なくないんですか?」
隣で見ているアイズ。式夜も一緒になって見ているが表情は暗い。
「・・・元はといえば私が・・」
「きゅ?気にしなくていいよ〜ちゃんと動くし!!」
沈んだ声を出す式夜を気遣ってかブンブンとすごい勢いで義腕を振り回すごま。
「ですが・・」
落ち込んだままの式夜。
「エミ、エミ!!言ってた特殊機構ってどうすればいいの!!」
「え・・あ、腕の中に何本か魔力回路があるでしょ?」
エミが義腕の説明を始める。
魔力回路と言うのは感覚的なもので、持ち主にしか解らない物である。簡単に言えば魔力を通すための仮想回路であり、そこに魔力を通す事で特殊な効果をもたらすものである。
コレの代表的なものが刻印や刺青であり、高価な武具などにはコレを彫り込むことで常時魔法を発動し、切れ味の強化などをしているのである。
「きゅ・・5本くらい?」
目を閉じ意識を義腕に集中するごま
「そそ、それに魔力を通してみれば・・」
言われるがままに感覚的に一番左端の回路に魔力を流す。
ズドン!!
ごまの義腕が爆発し、肘から先の部分が飛んでいった。
「・・・・・・・」
「・・・・・・・ぁ」
アイズと式夜が目を丸くしながらテントを突き破って飛んでいった義腕を目で追う。
「え〜っと・・」
ごまも驚いたらしくモウモウと煙を上げている義腕の残った部分を見ている。
「ふっふっふ・・これぞ必殺ごまちゃんパンチ!!」
嬉しそうにガッツポーズをしながら高らかと宣言するエミ。
「くぅ〜〜大成功!!」
感極まったように中空に手を伸ばし、余韻に浸っているエミは気が付かなかったようだった。
飛んでいった腕がある人物に当たったという事を・・

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