《MUMEI》 柊渚〈ヒイラギ ナギサ〉私のためにどれだけの人が死んでいったのだろう。 人を殺すということ感覚は、既に無くなり。 幼児が玩具を壊すのと同じ感覚。 私はもう人間ではないのだろう。 ただの殺人鬼。 美しき炎は私の醜い嗤いを誘う。 ◇ 死のキャンプファイヤーで。 幾人もの人が死んだ。 人々はただ一人の生き残りである女の子の家族や友達だった。 少女は一度にたくさんの物を失ってしまった。 当時、次のように語った者がいた。 『あの女の子が殺したんですよ! それ以外考えられない。女の子だけが生き残ったじゃないですか。』 確かに、ただ一人の生き残り、というのは、かなり怪しい。 しかし、当時の科学力では、少女が殺戮を行ったことを証明できない。 無論、今のそれでも。 しかし、彼女はやり遂げたのだった。 その悲劇は、そしてそれからの悲劇は、彼女が持っていた【特別な力】のために、起こったのだ。 彼女は悲しまなかった。 悲しむことを知らなかった。 彼女は悲しい存在だった。 柊渚。 彼女の物語は始まっている。 前へ |次へ |
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