《MUMEI》
柊渚〈ヒイラギ ナギサ〉
私のためにどれだけの人が死んでいったのだろう。
人を殺すということ感覚は、既に無くなり。
幼児が玩具を壊すのと同じ感覚。
私はもう人間ではないのだろう。
ただの殺人鬼。
美しき炎は私の醜い嗤いを誘う。



死のキャンプファイヤーで。
幾人もの人が死んだ。
人々はただ一人の生き残りである女の子の家族や友達だった。
少女は一度にたくさんの物を失ってしまった。
当時、次のように語った者がいた。
『あの女の子が殺したんですよ! それ以外考えられない。女の子だけが生き残ったじゃないですか。』
確かに、ただ一人の生き残り、というのは、かなり怪しい。
しかし、当時の科学力では、少女が殺戮を行ったことを証明できない。
無論、今のそれでも。
しかし、彼女はやり遂げたのだった。
その悲劇は、そしてそれからの悲劇は、彼女が持っていた【特別な力】のために、起こったのだ。
彼女は悲しまなかった。
悲しむことを知らなかった。
彼女は悲しい存在だった。
柊渚。
彼女の物語は始まっている。

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