《MUMEI》
Monochrome
 

歩み賜え 蝶の如く

知り賜え 大地に根深く

学び賜え 嬉々として




此処に



祝福を待つ天使は此処に










女王様のお歌は夜中に煌めく星屑のよう。

海にたゆとう波。

汐がきらきら私の頬を濡らす。
私の汚れた体はぷかりぷかりと浮かぶばかり。

女王様の肌に黒いビロォドのドレスがよく栄えて、ちりばめられた宝石もその黒瞳には敵わない。
私たちは二人で一つ。

ボロボロの身なりで女王様に身を寄せる賎しい私。
それでもいいわ。

ずっと楽だもの。


でも少し夜は寂しい。
夜風は冷たいままで、私もまだ温かいまま。

指の間に透かして見上げた先は山をも凌ぐ尊い女王様の後ろ姿。
まるで意志を持つ人のような尊い器。

そういえば私は彼女を正面から拝見したことがない。
砂漠も闇も森も海もずっと一緒にいたのに。
私は浮かび、女王は引きずる。

それは当たり前なのに少し寂しい。









馬が駆けてくる。


近付いてくるのはそう、私の王子様。

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