《MUMEI》

 



私の半身 私の姫







幻影の女王の真白き髪に繋がれ、引きずられ、まるで羽を切られた小鳥。
いつもの月も君を讃えて雲隠れだ。

私の雲雀、美しい声で名前を呼んでおくれ。




「迎えに来たよ、眠りの姫君。私はロイ、君の王子。

さあ行こう。

繋がれた鎖を離してあげる。」


抱き抱えて見る君は睫毛まで雪の如く真白い。肌も透ける白さだろう。

羽のような君。

指に絡む切り離した髪が舞い落ちた羽そのものだ。

君は異性と接吻したことある?私は君が初めてだよ。甘い唇に触れるとその満月の瞳が私を映す。



「……は。」

はにかんだ笑顔が、無防備な吐息が愛おしい。


「姫、私がきっと命を賭してお護りしましょう。」

指先に口付ける。
王子の誓いだ。




今も覚えている。
白い夜、白い絹糸の髪を持つ君は黒い満月に照らされて黒い肌で私に出会った。

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