《MUMEI》

「何だと!」


祐希が高山を睨む。


「実はね、私はSEXも子供もできないの。
だから、普通の結婚はできないけど、ずっと独身は寂しいでしょう?」


だからね、と高山は続ける。


「一生一緒に住んでくれるだけでいいの。
屋代君という恋人がいても構わない。

何だったら、三人で暮らしてもいいの」


高山の提案は、常識で考えれば、とんでもないものだ。


しかし、高山は真剣だった。


「別に、今すぐ結婚してってわけじゃないの。とりあえず、友達として、一緒にいられるか、一年間試してから、決めてほしいの。

二人は恋人同士だけど、結婚は無理でしょう?
それに、二人共独身だと、二人の仲を疑う人だって、出ると思うの。
そういう時、私は便利だと思うの」

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