《MUMEI》

俺は、後半の高山の言葉に惹かれてしまった。


俺達の地元は、はっきり言って田舎だ。


いつまでも独身だと、いろいろ周りから言われるだろう。


祐希は構わないと言ったが、俺は、正直、世間体が気になっていた。


今はいいけど、将来の事を考えると、時々不安になる。


「悪い話じゃないでしょう?」

そんな俺の気持ちを見透かすように、高山が声をかける。


「断る!」

「あなたにはきいてないわ」


祐希の言葉を高山は無視した。


「じゃ、今度はカラオケでも行きましょうね」


そう言って、高山は自分の分の代金を席に置いて、店を出ていった。

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