《MUMEI》
偽り
職員室での話で、先生の入院してる病院がわかった。その日の放課後に、病院に向かった。


病室のドアを開ける事にためらいはなかった。
『来てくれたんだ。』
いつもと同じ笑顔で、いつもと同じ先生だった。


たわいもない話をして、
いつもと同じノリで話しをしていたが。
先生は自分の病状を一言も口にしなかった。

自分から聞く事も出来ず。その日は、病院を出た。

翌日もその翌日も、病院に通った。
『今日はね、、、』
なんて、話しをして屋上から病室に変わっただけの事だった。

『てか、先生っていつ退院できるのー?』
その時のノリだった。
先生も、いつもと変わらない感じで、
『良くわかんねーけど、その内すぐだよ。』



ねぇ、先生と私はそんなもんな関係だったの?
隠し事はなしって言ったぢゃん。
あの頃の私が、一人で舞い上がってただけなのかな。どうして、嘘をついたの?


先生の病室に通って、1ヶ月が過ぎた日だった。

いつものように、ドアを開けると、あるべき布団がない。
あるべき、花瓶がない。

いるべき、先生がいなかった。

先生を受け持っていた、ナースに話を聞くと。

『ぁあ、荒木さんね。荒木さんなら今日の午前中に違う病院に移ったのよ。
あなたに、これって。』

その人は、手紙をさしだした。

―――〇〇〇ヘ―――
初めて、お前を見た時すごくきれいな子だな。って思った。
二人の時間を過ごせた事、本当に感謝してる。
お前は、俺との約束守って全部話してくれたのに。
今の病状も、何も知らせなくてごめん。

俺は、違う病院に移って手術する。でも、治ったところでもぅ、教壇には立てなくなった。
いっぱい嘘ついてごめん。隠し事してごめん。

すごく、大切な女の子だった。
ほんとーに大好きだった。でもその前に、大切な大切な俺の生徒だった。

荒木優太―――

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