《MUMEI》 祐希の唇が離れ、俺はぐったりして、祐希の腕の中におさまっていた。 高山が歌い出したのは、祐希が好きなロックバンドの曲だった。 (うまい) 元々男の曲で、祐希もよく歌う曲だが、女性の高山が歌うと、また雰囲気が違う。 「曲、入れないの?」 高山は、歌い終わると、俺達の方に、本とリモコンを置いた。 普通だ。 俺達のキスシーンなど、興味無いという感じ。 「いちゃつくのは構わないけど…」 高山がいたずらっぽく笑いながら言う。 「そこからじゃ、入口から見られると困るし、席替えしましょうか?」 ―と。 前へ |次へ |
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