《MUMEI》

(もしかして…)

祐希のキスで息が上がった俺を、高山なりに気遣ってくれたんだろうか?


―それから四時間。


祐希と高山は、意外と音楽の趣味が似ているようで。

三人、気付いたら、ノリノリで、歌い続けていた。


何だか、変な感じだけど、楽しかった。


「送ってくれてありがとう。後は、二人でゆっくりしてね」


高山は、カラオケボックス近くのマンションに入って行った。


帰り道。


カラオケボックスでのキスの理由を祐希に訊いたが、はぐらかされた。


(まったく)


心臓に悪い。


俺は疲れているからと、泊まろうと言う祐希の誘いを断り、まっすぐ帰宅した。

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