《MUMEI》 カラオケボックスの部屋の中で、俺は慎にキスをした。 女に、見せつけたかった。 一応和解したが、女が慎を好きだと言う言葉が気になっていたから。 抵抗する慎が、唇をそらし、苦しそうに口を開く。 慎の甘い吐息に、俺はつい夢中になって、舌を入れ、深くキスをした。 「…ん…」 色っぽい慎の声が響く。 ―俺は、一瞬目を開け、慎の向こうにいる女を見た。 視線が合う。 女は、いつものように、ニッコリ笑う。 (変な女) 俺は、慎から唇を離す。 そして、俺のキスでぐったりした慎を、優しく抱き締めた。 前へ |次へ |
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