《MUMEI》 病院七月の第二土曜日の夜。 俺は、祐希のアパートに泊まりに来ていた。 「祐希〜。ビールもらうな」 「ん〜」 俺は、冷蔵庫から、缶ビールを取り出す。 (風呂上がりは、やっぱこれだよな) タオルを首にかけたまま、缶ビールを持って、テレビを観ている祐希の隣に座る。 先に風呂に入った祐希は、Tシャツ短パン姿でくつろいでいた。 机の上には、つまみと空き缶が二つ。 「お…前、相変わらずペース早いな」 「そっか?」 祐希は、手に持っていた、三缶目を開けた。 「そのくらいにしとけよ」 「はいはい」 呆れる俺に、祐希が上機嫌で答える。 前へ |次へ |
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