《MUMEI》

「そういえば、こないだ、高山見たぜ」

祐希は最近、高山を『あんた』や『あの女』ではなく、名字で呼ぶようになっていた。


「ふーん、どこで?」
「道。歩いてた」


(そりゃ…)


高山だって道くらい歩くだろう。


「それがさ、俺達の高校の近くでさ」
「ふーん」


俺達の通ってた高校は、駅から徒歩20分位の場所にある。


「高山の歩いてた方向って、脳外科の方だったんだよな」
「脳外科って、あの?」


それは、この辺ではかなり大きくて、有名な病院だった。


「そ、あの」
「…」

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