《MUMEI》

高山は、そんな俺を、黙って見つめていた。


高山の手が、ピクッと動いて、叩かれるのを俺は覚悟して、目をつぶった。


(…?)


恐る恐る目を開ける。


高山の両手は、膝の上に置かれたままだった。


「今日は、帰るわ」

「あぁ」


無言の俺にかわって、祐希が返事をした。


それから、二人は、店の外で、何か話しているようだった。

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