《MUMEI》

ピトっ!

「ひゃ!」
「ほら」


祐希が、うつ伏せで寝ていた俺の背中に、ペットボトルを押し当てた。


「何すんだよ!」
「喉渇いただろ?」


起き上がって抗議する俺に、サラリと言う。


確かに、喉が渇いていた。

俺は、ペットボトルを開け、冷たいミネラルウォーターをゴクゴクと飲んだ。


すると、反動でまた汗がドッと出てきた。


「風呂入る?」
「いい。どうせ寝汗かくし」

…一応、毎回行為後、祐希が俺の体を拭いてくれているし。

(さすが、介護福祉士?)

意外と、祐希は、そういうとこ、マメだ。


―今は8月。


記録的猛暑で、毎晩熱帯夜が続いていた。


「そ?俺、風呂入るよ?」
「行ってこいよ。俺は、明日朝シャワー浴びれば大丈夫だからさ」


祐希は、いそいそと、ユニットバスに消えた。


その間に、俺は下着とTシャツを身につけた。

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