《MUMEI》 彼女だけ視えるアカイ世界ようやく瞳も本来の色を映し出してくれた しかしそれでもこの部屋は赤いままだった 赤い、朱い、赤い、紅い 「まだ足りない………」 気付けばもう夜だ 私は何時間かけて彼を貪っていたのか、一体何時間笑い続けていたのか。 「濃い血が飲みたい……! 年端もいかない子供のが良い………」 自分の身体をきつく抱きしめる さっきから昂揚しっぱなしで治まらない。 鼓動が激しい。 凄く淫らな気分…… あはは、そうだ。昔の自分もきっとこうだった筈――― ここは街から遠く離れた民家 山の中枢。近所に人は無し 中には一人、男が死んでいる 元は白かったこの真っ赤な部屋にその男がひとり 宿主はいない。もうここには帰って来ない。 街の人々は吸血鬼に怯える 今夜も甘い誘惑を餌に吸血鬼が街を血に染める きっと遠からずこの街はゴーストタウンに――――………… End 前へ |次へ |
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