《MUMEI》 ようこそ白鳥相談事務所へ「それがさー、あのババァ――― 『良いですね、そちらは御暇で。 何なら、私の仕事のひとつを、やって貰えませんか? 忙しい身でして、中々、捌き切れないのですよ。 ―――ああ、安心して頂いて、結構ですよ。今回のは、前回みたいに、貴女では、荷が重過ぎる仕事ではありませんので。 では、詳細は後程、FAXにて。可愛い従業員さんにも、宜しく、御伝え下さい』 ってさ。 もうアッタマ来てさぁ電話線を引き抜いて電話機ごと事務所の窓から放り投げたくなったわよ!」 ………流石にそれをやらなかっただけ社長にも必要分の道徳はあるようだ。 と言うか、内藤さんの言った事を丸々記憶しているこの人の頭が怖い。 昔から馬鹿と天才は紙一重と言うけど、社長は正しくそれである。無論、馬鹿の方に傾きかけてる訳だけどそんな事口が滑っても本人には言えない。 言ったが最後、それが俺の死亡時刻である。 俺も人の子。長生きがしたいです。 「………それで? アタマに来たから断るんですか社長?」 「まさか。受けた仕事は断らないわ。 来るものは全て解決! これがアタシのポリシー。水町は良く知ってるでしょう?」 ええ、ええ。良ぉく知ってますよ。 そのお陰で毎度毎度大変な事態に巻き込まれてます。 ―――なんて事は口には出来ないが、安心した。 現状、会社の経営が少しヤバくなってたとこだから、内藤さんから頂いたこの仕事を社長の好き嫌いで断られたらたまったものじゃない。 このテの仕事は本数こそ少なかれ、解決料はかなり高い。マグロの一本釣りのようなものだ。 当たり前だが非科学的な現象なんて現実的には認められない。 そんな得体の知れないモノを認めてしまうと世界がパニックになってしまう。 だから世界はこういった非科学的なモノを討ち滅ぼす組織を水面下で作り上げた。 そして世界中からこのテの力を持つ者を探し、そして秘密下に募ったのだ。 そこに属する者を滅師<めっし>と呼ぶ。 依頼は殆どその組織から回されて来る訳だ。 前へ |次へ |
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