《MUMEI》
ようこそ白鳥相談事務所へ
 
 
「ちょっと! 早くアタシに見せなさいよバカ!」

社長が俺の腕から詳細の書かれた紙を引ったくる。
一言も発せず身体を震わせてる俺と、唸り続けるFAXを見てただ事ではないと思ったのだろう。
実際ただ事ではない。
社長が読み進める間にもFAXは一生懸命働き続ける。
そして暫くするとワナワナと社長は肩を震わせ始めた。

あ、来る―――
次の社長のアクションが予測出来た俺は両耳の穴に一差し指を詰めた。
そして次の瞬間、修羅の雄叫びが事務所内に響き渡る事になる。


「なああぁぁぁああんですってぇぇぇ!!!! あのクソ蒼がァァアアアアア!!!!!」


その怒号は晴天の青空へ。

………ビリビリと響いた。
ガラスが割れるかと思った。
事務所が崩壊するかと思った。
近所様のいい迷惑だし、直撃を喰らった俺は災難過ぎる。

「ァ―――ア――――ウ」

耳を叩く。
良かった鼓膜は正常だ。
事務所も大丈夫。
後は苦情を言いに来る人が来ないようにと祈るだけだ。

「水町! 何なのコレは!」

「何って、今回の仕事です」

アホかー!なんて言って社長は目一杯背伸びして俺の顔に詳細の書かれた紙を押し付ける。


 

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫