《MUMEI》
ようこそ白鳥相談事務所へ
 
 
 
 
 
【二○○五年 9/6 昼/夕】






ガジガジガジガジと言う音に我に返る。

「むっ………」

どうやら少々うたた寝をしていたようだ。
何だよダサいな。これぐらいで疲れるとは情けない。
しかもまだ半分も資料に目を通してない現状。

と言うか内藤さんが寄越した資料に書かれているデータには、学校に在籍してる生徒達と学校で働いてる人達の名前と顔写真、それとその学校の近況等が書かれているが、それで一体何を何処を探せと言うのか?

「社長やめて下さい。血が出てますよ?」

取り敢えず社長の噛み癖?を止める。
本人はイライラすると無意識でやってるらしく、指摘するとすぐに止めてくれた。

「水町! お茶!」

「飲み過ぎ」

俺は社長の頭をコンと叩くと、茶菓子を取り出そうと棚へ歩み寄る。

そこでふと視界に入ったTVに釘付けになった。

そこには何気ないニュースが映し出されていたが、それは今の俺を釘付けにするには十分な内容だった。

「用務員が行方不明………」

それは来栖市内の蔵前高校。
ここから遠いと言えば遠いし、近いと言えば近いかもしれない少し微妙な距離だ。
ここの用務員が2日前に学校内で行方をくらまして以来消息不明だと言う。
校長が会見を開いている。
用務員は真面目な性格で無断欠席も無く生徒からも好かれていたので、行方をくらます動機が解らないそうだ。

奇しくも今、自分達は学校を探している。
ターゲットは学校に潜んでいると言う内藤さんの情報。
何か、直感のようなものを感じた。

「なんかそこ怪しーわね」

頭上を社長の声が通る。
心なしか、その声は弾んでるように聞こえていた。
TVから目を離さず社長に尋ねてみる。
自分でこれだけ思う所があるのだ。

「その怪しさ、なん%ぐらいですか?」

何となく分かる。
社長は今、―――笑ってる。


 

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