《MUMEI》
ようこそ白鳥相談事務所へ
 
 
元はドレスソードに近い感じだったらしいが、大分様変わりしていると聞いている。
俺はそれを背中に乗せて固定の紐を胸の前で縛る。
こんな物持って歩いたら警察に捕まってしまうなんて思ってないだろうか?
実はこの剣、刃が無い。
あるのは柄と根本からボッキリ折れた本体と鞘のみ。
なんて事は無い。ただのスクラップである。

でもカラクリがある

刃は無いのでは無い。ただ見えないだけ。
社長いわく、刀身には古代から伝わる解読不明な文字が多数刻み込まれており、それが刃を見えなくさせ、尚且つ重くさせているとか。
因みに社長には刃が見えるらしい。魔物共も同じく鯨姫の刃が見えるらしい。
そのテの力がある者なら問題無く見れる。
そう、だから普通の人には見えない。そして何故かこの刃が自分には見えない。
馬鹿な!何故だ!
答えは社長が「アンタは弱いから見えない」とスパッとした一言で解決した。
 
そうそうさっきポロッと出たが、この剣の名は鯨姫。
社長の愛剣だ。
これでも12kgの重量がある。
鯨なんて名の由来は大きくて重いとこから来たらしい。
重いよ12kgは。
破壊力は大きいよ。何たって当たりさえすれば特定の魔物が覆う障壁を突き抜け真っ二つにする程。
まあ。当たりさえすれば、ね。

俺にとっては鯨姫なんてどうでもいい。
とにかく重い。鯨姫に関する感想はそれだけである。





さて準備は整った。
出て行く際、社長を盗み見た。
気持ち良さそうにグースカ寝ている。まあ不完全な体調で戦って貰いたくはないが、ないが………畜生………俺だって、俺だって眠たい。

ブツブツと怨みゴトを言いつつ、社長を起こさぬよう、軽めの毛布をかけ、プリンタが吐き出した地図を手に取り事務所を後にする。

まあ、寝るのは全てが終わった後だ。


 

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