《MUMEI》
覚醒
私の中の他人が目覚めた時、私は私ではなくなった。
私は抵抗することも出来はしなかった。
彼が目覚めたあの瞬間、私達の破滅は始まっていたのだ。
私は消えたくなかった。
でも、仕方の無いことなのだろう。
私は、たくさんの人を殺したのだから。
私の命だけでは贖罪など出来ないだろう。
なら、地獄に堕ちた後も、罪を償い続けよう。
もっとも、この魂ごと消滅してしまえば、それも出来なくなるが。



キャンプファイヤー。
周りの木は燃えていく。
彼女の力は目覚めた。
同時に、彼は生まれた。
一つの体に、二つの人格。
そして彼は、火を放った。
次々と燃えていく物体。
彼は嗤う。
キャンプファイヤーは消えかかり。
彼は眠る。
最初から目覚めてはいけなかったのだ。
それは力か、それとも彼か。
意識を取り戻した彼女。
悲鳴が宵闇を切り裂き。
彼女は再び意識を失った。

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