《MUMEI》

(高山も、遅刻か?)


携帯をチェックしたが、高山からの連絡はなかった。

おかしいと思いつつも、俺は、そのまましばらく待つ事にした。


―それから、30分後。


祐希が来た。


「悪い!遅くなって!」
「いや…」


祐希が、辺りをキョロキョロ見渡す。


「高山は?トイレ?」
「まだ来てない」


俺の言葉に、祐希が驚く。

さすがに俺も不安になってきた。


「連絡してみれば?」
「うん」


俺は、高山の携帯に電話をかける。


コール音が鳴る。


一回、二回、三回…


「…出ない」


四回、五回…


プツッ…


「もしも…」


ツー、ツー、ツー、…


「…切れた」


通話終了画面を見つめ、祐希に伝える。


「慌てて、間違えて切ったんじゃね?」


祐希に言われて、俺はリダイアルボタンを押した。

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