《MUMEI》
大切なコト
「…は…?」
俺は再び顔を歪めた。
「俺の親父は有名なサッカー選手だったんだ」
「へ〜‥」
「ただ‥日を重ねる毎にサッカーを楽しむんじゃなくて、勝つためにサッカーをやりだした‥。そしたらプレイも上手く行かなくなって、ベンチにも入れてもらえなくなった‥」
「…………」
「俺も同じような事をして親父に言われたんだ‥」
「…なんて…?」
有河原樹は一度大きく息を吸った。



「『楽しむことが出来ないなら…その物事とはお別れだ…』って…」



その言葉は俺の胸にずっしりのしかかった。
それと同時に、俺も勝負事を勝つためにやっていた事を実感した。


「…だから俺…ここに来たんだ…」
「え…?」
俺が目を向けると、有河原樹はにこりと微笑んだ。
「俺は独立して、なんの支えも無しに立ってみたかったんだ」
「す‥すげぇな‥」
「そうかな?」
有河原樹はケラケラと笑った。



―俺‥コイツの一言に‥人生助けられたかも‥。










病室を後にした俺は‥‥










寮に戻った‥。











机の中の‥‥











『人生計画白書』を‥













封印するために‥。














―もしかして‥
  あいつに会えたのも、
  計画のうち‥?

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