《MUMEI》 家族「そういえばさ、ミユウの家族は?」 なんとかこの妙な雰囲気を抜け出そうとタイキは話を変えることにした。 「なに急に?」 「いや、なんとなく。……ホテル暮ししてたってことは、この町出身じゃないよな」 しかし、ミユウは首を振った。 「この町出身だけど?」 「え、そうなの?じゃ、両親は?」 「さあ……」 「さあって……」 「知りたい?」 ミユウは悪戯っ子のような笑みを浮かべた。 「うん。まあね」 「なにそれ。じゃあ、教えてあげない」 「あ、嘘。教えてください」 タイキは素直に頭を下げる。 するとミユウは満足そうに頷いた。 「しょうがない。教えてあげる。わたしの親は……」 「親は?」 ミユウはしばらくタイキの顔をじっと見つめ、やがてピッと自分の端末を指差した。 「これ」 「………は?」 「だから、わたしの親は端末だって」 「あのさ、それ、君が作ったって言ってなかった?」 「うん。そうだけど?」 「僕をからかってるよね?」 「あ、わかった?」 「……真面目に聞いたのに」 タイキは不満を隠そうともせず、不機嫌そうな表情でミユウを見た。 「なによ。これくらいで怒ってちゃ、モテないよ?それに半分は本当なんだし」 「半分?」 「なんでもない。で、あんたは?」 ミユウは小さく首を振り、タイキに聞いた。 「何が?」 「家族。あんたの家族はどんな家族?」 「え、僕の家は普通だよ」 「いいから答えなよ」 ミユウはなぜか強い口調でそう言った。 タイキは仕方なく自分の家族のことを話し始め、やがて自分の過去まで話す羽目になってしまった。 前へ |次へ |
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