《MUMEI》 待ち合わせ場所には、長身の男女がいた。 女性―高山貴子は、妹だけあって、高山にどことなく似ていた。 身長は、高山より高く、気の強そうな印象を受けた。 「すみません、呼び出して」 「いえ…ええと…」 俺は、貴子さん(何となく、呼び捨てでは呼びにくいので、さん付け)の隣の、白衣の男性を見た。 「はじめまして。志穂の兄の大です。」 「は、はじめまして。仲村です」 (この人が…) 容姿淡麗・頭脳明晰で有名な、高山家の長男。 家を継ぐのではなく、医療の道を選んだ人。 その人は噂にたがわず、細身で、かっこいいと言うより美しい顔立ちをしていた。 「ここは、私の職場なんだ。志穂もここに、入院している」 入院。 ―そう。 呼び出された、ここは、地元で一番大きな国立総合病院だった。 「あの、高山、大丈夫なんですか?」 「それは…」 「それより、お姉ちゃんに会ってもらえませんか?仲村先輩の顔を見れば、元気になるだろうし」 大さんの説明を、貴子さんが遮る。 「…そうだな。彼なら、大丈夫だろう」 (俺なら?) 「君の名前は志穂からよく聞いているからね」 大さんはそう言って微笑んだ。 前へ |次へ |
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