《MUMEI》

「加奈、あがったよ」


僕が部屋に入ったら加奈はベットにうつ伏せで寝ていた。



本当はなんで左手がしみると言ったのか知りたかったが、起こすのは悪いと思い、ベットに腰掛けテレビをつけて音量を小さくした。


テレビでは、最近起こった集団自殺についてのニュースがやっていた。



【この前○○県で起こった集団自殺は全員リストカットの跡があり自殺志願者だったと思われます。】



【どうして若者はリストカットをするのでしょうか。専門家に話を聞いてみましょう。】


【リストカットは自殺の手段として使われ、自殺願望が強いと見ております。…………】



僕は持っていたリモコンを強く握った。


(違う。リスカは死ぬためなんかじゃない。生きる為にやってるんだ。)


握っていたリモコンはミシミシと音を立て今にも壊れそうだった。


そんな僕の手に温かい物が乗った。


加奈の手だった。


「加奈、起きてたんだ。」

加奈は答える代わりに僕の後ろから抱きしめた。

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