《MUMEI》
告白!
翌日。
あたしは神月高校の前で雲雀さんを待っていた。
「あれれ〜?誰かと思えば律ちゃんだよねぇ〜?」
声をかけられ慌て顔を上げると、陸上の時に雲雀さんと一緒にいた、桜さんが居た。
「…あ…こんにちは」
「なになに〜?用事?」
「まあ…あの、雲雀さんは…?」
「雲雀〜?多分まだ走ってるよ。あいつ来週から強化合宿だから…」
「そうですか。ありがとうございます」
あたしは深く頭を下げて校舎の間を擦り抜け、グラウンドへ向かった。


陸上部専用のタータングラウンドで雲雀さんは1人練習に励んでいた。
あたしはそっと近付き声をかけた。
「こんにちは雲雀さん♪」
「!!…はぁ…びっくりした…律ちゃん…どうしたの?」
雲雀さんは置いてあったタオルで汗を拭いた。
あたしは来た理由をそのまま伝えるのが恥ずかしかったので、少しはぐらかした。
「あの‥ですね‥」
「ん?」
「いっ…伊藤さんとは…?」
雲雀さんは一瞬汗を拭いていた手を止めたが、すぐに柔らかく口角が上げた。


「律ちゃんのおかげだよ」


あたしはその一言で全てを察し、微笑んだ。
「よかったですね・・」
「ホントに‥ありがとうね‥律ちゃん‥」
雲雀さんが優しく微笑むと、あたしの胸が大きく音をたてた。
あたしは手に力を込めた。

「…雲雀さん」
「何?」
「別に…どうしてほしい…わけでもないので安心してくださいね…!」
雲雀さんは不思議そうな顔をしている。



「あたしは雲雀さんが好きです!あの‥雨の日から‥ずっと‥」



あたしはギュッと目をつぶった。

―今‥雲雀さんはどんな顔してるんだろう?

‥!
突然頭に重みが来た。
目を開けると、雲雀さんが優しく頭を撫でてくれていた。

「ありがとう」

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