《MUMEI》
さようなら‥ありがとう‥
「ただのヤキモチなんだよね〜先輩♪」
「勘違いもいいとこね雲雀」
「照れないで下さいよ!」
あたしには、目の前で飛び交う言葉をただ茫然と聞いていることしか出来なかった。



夕日が沈みかけた頃、2人の言い争いが終わった。
あたしは途中から付いていけなくなり、携帯をいじってしまった。
その後すぐに帰り仕度をして、帰ることになった。
「ごめん‥律ちゃん‥」
「ごめんね‥」
「いえ‥気にしないで下さい‥」
「とても高校生とは思えない行動で‥」
「確かにー先輩はまだまだ子供かな♪」
「雲雀っ!?」
「ちょっとお二人!止めて下さい!」
「「…すみません…」」
ぷっ
あたしは思わず吹き出してしまった。


「それでは…たまに本屋に顔を出してくださいね」
「ええ…是非」
「もちろん♪」
2人は嬉しそうに笑った。
「でわ…さようなら」
あたしは手をひらひら振りながら、2人に背を向けた。

あたしは数歩歩いてから再び振り返った。
2人は不思議そうにあたしを見ていた。








「結婚式には呼んで下さいね☆」










あたしは2人が真っ赤になるのを見て、再び夕闇に染まる帰り道を1人歩き出した。

オレンジ色の雲の横にはぼやっと三日月が浮かんでいた。






「明日はいいことありますように‥」




あたしは呪文のごとく唱えた。

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