《MUMEI》
高山の過去
高山と、元夫―高原 良幸(たかはら よしゆき)が知り合ったのは、高山が18歳の時。


短大の入学式で、付き添いで来ていた高山の同級生の保護者が、同級生の兄の高原だった。


当時、高原は26歳。
高山とは、8つ年が離れていた。


その頃高山は、既に痩せて綺麗になっていた。


高山を見て、高原は一目で気に入ったらしい。


それから、高原は積極的に高山にアピールを開始した。


高山は、中学では男子に女扱いされなかった。

高校は、女子校。

短大も、女子短大だった。

当然、男に免疫はない。


中学で男子に受けた扱いは、高山の中でトラウマにもなっていたらしい。


高山の口癖は、二言目には、「私なんか…」だったと貴子さんが顔をしかめて教えてくれた。


最初は高原の言葉に戸惑っていた高山も、二年間、好きだ・愛していると言う高原に、次第に惹かれていった。


…貴子さんからは、「誰かに愛されたい」想いが強かった高山は、誰でも…高原でなくても、惹かれていたように見えたと言うが。


実際、未だに高山が高原を愛していたかは、貴子さんにはわからないらしい。

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