《MUMEI》
今更確認
貴子さんの説明が一通り終わった時。

「あの…」
「はい?」


俺は、今更ながら、質問した。


「こんな…高山の込み合った事情、俺がきいちゃって、よかった…んでしょうか?」

年下相手に、思わず丁寧な言葉遣いで訊いてしまう。
高山の過去は、あまりにも辛い出来事が多すぎて、第三者が軽々しくきいてはいけない気がした。


(…聞いておいて、本当に今更だけどさ…)


「いいんですよ。仲村先輩ですから」
「俺、だから?」

貴子さんは、高山そっくりの笑顔で頷く。


(そういえば…)

何故か、大さんにもそんなような事言われた気がする。

高山兄妹に特別扱いされる理由がわからなかった。

高山とは、まだ『お試し期間』中だし。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫