《MUMEI》 「ところで、私も確認したいんですけど…」 「何?」 貴子さんが、真剣な表情になる。 「お姉ちゃんって、仲村先輩に、いつも『ああ』なんですか?」 「『ああ』?」 俺は、病室での高山を思い出す。 「あ、『ああ』ね。うん。いつも、あんな感じ…」 チッ (は?) 何故か、貴子さんが舌打ちした。 そして、ブツブツと呟く。 その表情は、かなり険しい。 「あの?」 「…あ、すみません。仲村先輩。また、お姉ちゃんのお見舞いに来てもらえます?」 「?いいけど…」 話の方向が突然変わった。 「良かった。…で、その時に……てもらえます?」 「は?」 『それ』をする理由がわからなかった。 「多分、それで、剥がれると、思うんで、よろしくお願いします」 「剥がれる…って、何が?」 貴子さんは悪戯っぽく笑いながら答えた。 「お姉ちゃんの、化け猫」 ―と。 前へ |次へ |
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